言語聴覚士のリハビリテーション専門病院での仕事内容
リハビリテーション専門病院
言語聴覚士が働く職場のひとつに、リハビリテーション専門病院があります。ここで示すリハビリテーション専門病院は、回復期病棟を持ち、その名のとおりリハビリテーションを集中して行うための病院とします。リハビリ職種の間では「回復期」と呼ぶ人もいるのではないでしょうか。
言語聴覚士が在籍するリハビリテーション専門病院は比較的規模の大きな病院であり、リハビリテーションスタッフの在籍は多くなります。中には総勢100人以上というところもあります。言語聴覚士の数は、理学療法士や作業療法士と比べると人数は少ないものの、他の職場に比べれば在籍人数も多いでしょう。
リハビリテーション専門病院は、入院開始の期限は発症から2か月以内、入院期間は最長でも180日と期限が決められており、集中しての質が高いリハビリテーションが求められます。リハビリテーションは毎日密に行われるため、患者やその家族との距離感も近く、非常にやりがいがある職場でもあるでしょう。
もくじ
仕事内容
リハビリテーション専門病院における言語聴覚士の対象の患者さんは、脳血管疾患や外傷後の言語・コミュニケーション障害や高次脳機能障害、摂食・嚥下障害などが主になります。急性期病院で全身状態が落ち着き、リハビリテーションによる回復を目指す患者さんを対象としていくことになります。
リハビリテーション専門病院では、大きな目標としては在宅復帰が挙げられます。そのため、患者さんの言語・コミュニケーション機能の回復の先には、患者さんそれぞれの退院後の生活があることを忘れてはなりません。必要であれば患者さんを取り巻く職場や学校などへのアプローチも検討していく必要があります。
患者さん誰しもが本人や家族の期待通りに順調に回復したり、リハビリテーションに意欲的であったりとは限りません。言語聴覚士だけで抱えこまず、医師や看護師、理学療法士や作業療法士など、他の職種との連携を取りながらアプローチ方法を柔軟に検討していくことも必要になります。たとえ主担当のスタッフが休みの日でも、別のスタッフによって患者へのリハビリテーションは提供されるため、日頃から症状やリハビリテーションの経過を報告し合うなどスタッフ間の協力は必須です。また、コミュニケーションの不全は非常にストレスが溜まるものです。他職種や家族が円滑にコミュニケーションをとれるよう、適したコミュニケーション方法についても言語聴覚士の視点から伝えていきます。
1日のスケジュール
| 8:30 | 朝礼・掃除・スケジュールの確認 |
|---|---|
| 9:00 | リハビリテーション開始。病棟や言語療法室など、個々の患者さんに合わせて実施します。ご家族やケアマネージャー、ヘルパーなどと話し合いの場を設定することもあります。 |
| 12:00 | 昼食前に特に摂食嚥下機能へのアプローチが必要な方のリハビリテーションを組み込みます。また、食事場面そのものへのアプローチも行います。 |
| 13:00 | お昼休み |
| 14:00 | 午後のリハビリテーション開始。午前と大きく変わりはありません。 |
| 16:30 | 当日中の患者さんの状態をカルテに記載します。また、終わり次第、言語療法室やリハビリテーション室の清掃などを行います。 |
| 17:00終業後 | 医師や看護師とのカンファレンス、各種委員会や勉強会などが設定されることがあります。 |
ワークライフバランス
365日休みなくリハビリテーションを提供するところもあり、4週8休などシフト制で勤務体制が組まれている病院がみられます。夜勤はありませんが、より退院後の生活に近づけていくリハビリを重視することから、朝や夕方といった時間を重視し、早番や遅番などもあるでしょう。若いスタッフも多いため新人教育システムや勉強会システムなどスキルアップをできる体制がある傾向が見られますが、終業後の時間を使って行われることにも覚悟が必要です。

