言語聴覚士の仕事内容
仕事内容
言語聴覚士の専門性は多岐に渡りますが、その仕事内容は各医療機関や施設によって異なり、専門とする領域も異なってくるものです。この記事では、言語聴覚士が勤務している各機関の特徴を大まかにまとめていきましょう。
もくじ
一般病院での仕事内容(要約)
言語聴覚士の職場の約7割は医療機関という報告があります。次に示すリハビリテーション専門病院を除いても、医療機関にも様々な特色があります。24時間体制で患者を受け入れている急性期総合病院や、脳神経外科や内科、小児科や耳鼻科の専門診療を行うクリニックなど、規模も専門性もさまざまです。言語聴覚士は、言語・コミュニケーション障害や摂食・嚥下障害に対するリハビリテーションに対応する病院であれば、どの規模の病院でも在籍している可能性があります。
たとえば急性期病院では患者さんの言語療法をベッドサイドから行うこともあります。24時間の全身管理が必要な状態から開始することも少なくはなく、医師や看護師、理学療法士や作業療法士など他職種との連携は欠かせません。急性期病院では患者さんの転院も多いため、転院のための報告書作成も多くなるでしょう。
また、地域密着のクリニックでお子さんの発達や、難聴などに特化したリハビリテーションを行っていることもあります。
リハビリテーション専門病院での仕事内容(要約)
ここで紹介するリハビリテーション専門病院は、いわゆる回復期にあたる病院とします。脳血管疾患の発症や大きなケガの受傷後に、命の危険がある時期を脱し在宅復帰に向けて集中してリハビリテーションを行う方が対象です。入院期間は最長でも180日と定められており、入院中は退院後の生活を視野にいれてのリハビリテーションを提供します。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったセラピストはもちろん、看護師や医師、ソーシャルワーカーなど様々な職種が連携していきます。また、退院後の生活において家族が戸惑わないよう、家族へのアプローチも忘れてはいけません。回復期のリハビリテーション専門病院にもいくつかの規模があり、言語聴覚士が在籍するようなリハビリテーション専門病院は比較的規模が大きく、若いスタッフが多いため、研修制度や勉強会が盛んなことが多い傾向が見られます。
高齢者施設での仕事内容(要約)
高齢者施設といっても、入所をしながら機能の維持や回復をはかり在宅を目指していく老人保健施設のほか、在宅から通うデイサービス、特別養護老人ホームなどいくつかの種類があります。介護分野での言語聴覚士の仕事では、脳血管疾患後などにリハビリテーション専門病院でリハビリテーションを受けてきた方のほかに、徐々に進行がみられる認知症の方も対象となります。個々の利用者さんの機能のゆるやかな回復や維持を目指す他にも、今ある機能をどのように用いて、家族や職場のスタッフと利用者さんの円滑なコミュニケーションに繋げるか、また、生き生きとした生活を送れるかを考えていくことも必要となるでしょう。さらに、行事の運営など施設の職員のひとりとして、時には柔軟な対応を求められる業務もあるかもしれません。
訪問リハビリの仕事内容(要約)
訪問リハビリテーションは、セラピストが利用者さんの生活の中に入りこんでリハビリテーションを提供します。ある程度環境に制限のある病院でのリハビリテーションとは異なり、患者さんそれぞれによって家庭の環境は異なります。医療機関のような設備はないため、摂食・嚥下機能の検査などを病院に依頼することもあります。在宅での生活によって回復が促される部分もあれば、困ってしまう部分も生じるものです。利用者さんや家族のニーズをしっかり把握し、必要があれば主治医や看護師、ケアマネ―ジャーなどの他職種や病院とのパイプ役になるということもあるでしょう。
まとめ
運営母体によっては、急性期・回復期・維持期、老人保健施設や訪問リハビリテーションまで行うといった、医療から介護までトータルに関わっている組織もあります。また、成人だけではなく、小児を対象としている機関もあります。言語聴覚士のスキルアップとして、ひとつのことを深めるという方向性だけではなく、幅広い経験を積むことが可能な職場もあるでしょう。

