「ことばの遅れ」に対しての治療・業務
「ことばの遅れ」の
障害への治療・業務
言語聴覚士が関わる領域は、成人分野だけではありません。お子さんのコミュニケーションやことばの発達に関わる言語聴覚士もいます。中でもことばの遅れは、言語聴覚士がお子さんに関わるきっかけになります。この記事では、ことばの遅れに注目してみましょう。
もくじ
「ことばの遅れ」とは
人間は生まれてからわずか1年と少しで、身近な人の話している音声をコミュニケーションの道具として理解し、自分も道具として使い始めます。これは世界中のどこで生まれても同様です。
しかし、中には、同じ年頃のお子さんが「文章」で話をしているのに、わずかな単語しか話していないお子さんがいます。また、もうすぐ小学生といった時期になっても、簡単な質問になかなか答えられなというお子さんもいます。状態は様々ですが、その年齢に期待される程度までことばが発達していないと「ことばの遅れ」が疑われます。
お子さんの発達には多少のスピードの違いがあります。ことばの遅れといってもそれほど気にならない範囲のものもありますが、一方で、ことばだけではなく様々な面で配慮が必要になっていくお子さんもいます。
「ことばの遅れ」の原因
ことばの遅れが起こる原因には、まず、知的障害や運動発達に遅れが生じるといわれるような生まれつきの疾患や染色体異常など、先天的なものがあります。
また、難聴があると、ことばの発達に必要な音声が受け取れない状態となります。そのため、難聴のお子さんも早い段階から適切な支援を行わなければ、ことばの発達に影響が出ます。
以上のように、比較的原因がはっきりしているものがある一方で、原因がわからないものも多くあります。赤ちゃんの頃には気がつかず、コミュニケーションやことばを扱う場面が複雑になっていくほどに、課題が表面化してくる場合もあります。
たとえば、知的障害のあるお子さんは、運動やことばの遅れがきっかけになって気づかれることがあります。
また、発達障害は、早い段階でことばの遅れで気づかれるお子さんもいれば、同じ年頃のお子さんたちとの集団生活が始まる時期にトラブルが多くなり、気づかれることもあります。発達障害の原因については、現在も研究段階ですが、脳に何らかの特徴があると言われています。
さらに、コミュニケーションの経験が極めて少ないときも、生活に必要な語彙が不十分だったり、学習に支障がでることがあります。
「ことばの遅れ」の治療
お子さんに関わる言語聴覚士は、市町村の保健センターや、小児科や耳鼻科のある病院、障害のあるお子さんが通う福祉施設などに在籍しています。ことばの発達には、普段関わる人とお子さんが楽しくコミュニケーションをとることが大切です。言語聴覚士は、直接お子さんと関わりながら、その子のことばやコミュニケーションの様子を分析し、ことばの発達を促すような関わり方を保護者に伝えていきます。
また、ことばを使う場面は成長するに従って複雑になっていきます。保護者など身近な人とのやりとりだけではなく、同じ年頃のお子さんとの関係づくりや、学校での学習についても相談に応じることがあります。ことばだけに着目せず、お子さんの良い面に焦点をあてることも大切です。

