「聞こえ」の障害に対しての治療・業務
「聞こえ」の障害への
治療・業務
人間の五感のひとつである聴覚が障害されることは、家族など身近な人とのコミュニケーションのほか、学校や仕事といった社会生活でも困難が生じることがあります。言語聴覚士は、その名称にもあるように「聴覚」に障害のある方に対しても関わっていきます。この記事では、「聞こえ」の障害についての言語聴覚士の役割について紹介します。
もくじ
「聞こえ」の障害とは
「聞こえ」の障害は、様々な音や声の情報を集めるための「聴覚」が、何らかの原因で十分に使えていない状態です。聴覚障害はコミュニケーションを難しくしたり、環境の音から得られる危険な情報を察知することができなかったりと、生活をしていく上では様々な工夫が必要であり、時には大きな壁があります。
まず、聴覚はことばの発達に大きな影響があります。人間のことばは、五感を使って他者と気持ちや話しことばの双方のコミュニケーションを重ねながら、育まれていくものです。しかし、聴覚に障害があると、簡単なやりとりすら成立しづらくなります。また、話しことばを自然と聞き取れないということは、ことばを学ぶ機会も障害されるということです。
また、大人になってから聞こえに障害が生じることもあります。以前は聞こえていたものが聞こえなくなり、人とのコミュニケーションがとりにくくなるということは、生活のしづらさだけではなく、孤独感にも繋がりかねない障害です。
「聞こえ」の障害の原因
聞こえの障害の原因といっても、様々なものがあります。生まれつきの障害としては、染色体異常や遺伝、母体の感染などが原因になると言われていますが、原因不明のものもあります。また人生の途中でも突発性難聴や聴神経腫瘍といった疾患や、騒音に晒されることが原因で難聴になることもあります。
さらに高齢になり身体機能が衰えるのと同様に、聞こえについても衰えていくことが知られています。一般的には、加齢に伴って高い音が聞こえにくくなっていきます。聞こえの障害は、いずれは誰しもが向き合っていく障害です。
「聞こえ」の障害の治療
聞こえの障害の治療は、まず医師の診断や治療が優先されます。言語聴覚士は、必要によって聞こえに関わる検査を行ったり、補聴器の調整に携わったりすることがあります。また、コミュニケーションや生活のしづらさに対しての工夫を、本人や家族と考えていくこともあるでしょう。
特に、聞こえの障害は、お子さんのことばの発達への影響があります。そのため、可能な限り早い段階から、本人や家族への適切な支援が必要です。コミュニケーションのツールとして手話を選択するお子さんもいますが、残された聴覚機能を十分に活用して日本語を学んでいくことも大切です。
言語聴覚士は、保護者の不安な気持ちに寄り添いながら、まずは保護者にことばやコミュニケーションを促すための関わりのコツを伝えます。さらに、成長するに従って、本人にとって必要な環境に繋げていくことが大切になります。幼稚園や保育園、学校などに、情報を提供したり、先生からの相談に応じることもあります。
聞こえの障害に関わる言語聴覚士は、聞こえに障害のあるお子さんが通う施設や学校で勤務していることもあります。

