作業療法士の高齢者施設での仕事内容

作業療法士さんの仕事内容
高齢者施設

老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイケアなどの通所リハビリテーション施設に入所・通所されている高齢者の方を対象に作業療法を行います。

加齢に伴う身体機能や認知機能の低下に加えて、色々な疾患を併せ持っている方も多く、個人に合わせた機能訓練、基本的動作練習、日常生活動作練習の他、趣味活動や楽しみ、認知機能面・精神面への働き掛けを行う作業活動やレクリエーションなども行います。

仕事内容

老人保健施設、特別養護老人ホームでは長期間にわたって施設入所されている方が多く、毎日変化に乏しい刺激の少ない生活を送っている方が少なくありません。もともと持っている疾患の進行や疾患に伴う二次的な障害、加齢によっても身体機能、認知機能は年々低下していき、活動性・自発性は失われていきます。今の状態でできる限りの日常生活動作が行えるように、また、その人らしく毎日を過ごせるように作業療法士は援助を行っていきます。

身体機能、認知機能の低下の予防のために、関節可動域訓練や基本動作訓練、日常生活動作訓練といった直接的な運動や動作練習、お手玉やボール、折り紙など高齢者の方にも馴染み深い玩具や物品を利用した作業や運動を行い、自発的な身体の動きや、頭を使って考えることを促していきます。対象者の方が好きな編み物、塗り絵、習字などの作業を選択し、楽しみや趣味活動として継続して行っていくこともあります。

また、歌や貼り絵、ゲーム、体操など季節感の要素を取り入れたレクリエーションを集団で行い、他者との関わりの中でコミュニケーションの機会をつくること、声を出す・身体を動かすことでの活動性の向上やストレスの発散を促します。気分転換や行事活動の一環として散歩や外出を個別やグループ単位で企画して行うこともあります。

毎日過ごすベッドや車椅子姿勢のポジショニング、介護者や対象者の双方にとって負担の少ない介助方法の指導など、対象者の方にとって毎日の生活が少しでもより良いものになるように環境の整備も行っていきます。

通所リハビリテーション施設では、個別リハビリテーション、作業活動、レクリエーションや在宅生活の環境整備・相談にも応じます。

高齢者施設で働く作業療法士は、維持期のリハビリテーションに関わるため、機能訓練よりもその人らしさを引き出すための作業や活動のレパートリーが豊富にあり、その方に合った展開が行えること、人生の先輩である高齢者を尊重し、その方が辿ってきた環境や背景などを踏まえた捉え方、会話ができることが望まれます。

対象となる疾患

脳血管障害、パーキンソン病、認知症、大腿骨頸部骨折、腰椎圧迫骨折、脊柱管狭窄症、変形性関節症、糖尿病、廃用性症候群などが多く、高血圧症、高脂血症、心疾患、呼吸器疾患など内科系の疾患を合併しているケースが多くみられます。

一日のスケジュール例

8：30	朝のミーティング、スケジュール確認連絡事項や申し送り、今日のスケジュール確認を行います。
9：00	個別リハビリテーション、集団レクリエーションの実施個別リハビリとグループでゲームやスポーツなどのレクリエーションの企画・進行を行います。
11：30	食事前の嚥下体操指導、食事姿勢の確認・介助食事前にムセや誤嚥を予防するための体操を集団で行います。対象者の方の食事時の姿勢のポジショニングやセッティング、介助を行います。必要であればスプーンや箸など自助具の作成も行います。
12：00	昼食、カルテ記入
13：00	個別リハビリテーション、集団作業療法の実施個別リハビリと手工芸などの作品作り、個人に合ったプリント課題の提供・指導を行います。
16：30	カルテ記入、書類作成、自助具の作成など
17：30	帰宅

ワークライフバランス

高齢者施設の作業療法士は一人配置となる施設も多く見られます。維持期のリハビリテーションであり、毎日の集中的なリハビリが必須であるという環境ではないため、比較的休みはとりやすいと言えます。しかし、作業療法士が中心となる行事がある場合や個別リハビリテーションを重要視する施設では休みが取りづらい場合もあります。

計画書や報告書などの書類作成が多くある日や、レクリエーション・作業活動の準備、利用者様のポジショニングや自助具の作成をするために残業をする日はありますが、普段の残業はほとんどありません。自分の中で優先順位をつけて融通を効かせられるので、予定に合わせたスケジュール調整も可能です。